「東福寺大涅槃図」吉山明兆
大涅槃図の開帳は本堂で行われ、その大きさは縦約12m、横約6m。
室町時代の著名な画家明兆の作によるもので、画風の素晴らしさも有名です。他とは違い、猫が描かれている珍しい特徴があります。
献花展、尺八献笛、甘酒の接待、花供御(はなくそ)の期間中特別授与があり、国宝の三門、龍吟庵の特別公開も開催。
「大涅槃図について」
明兆筆大涅槃図は3月15日の涅槃会の供養に本尊として掛けられるものです。
図の中央に釈尊は右脇を下にして台上に横臥し、菩薩や阿羅漢、禽獣などが嘆き悲しんでいる姿が描かれております。
明兆がこの大涅槃図を製作中に、一匹の猫がよく遊びに来たので、図中にこれを書き入れたと伝えられております。
この大涅槃図の制作は明兆自ら墨書を書き入れており、「應永戊子十五年六月日、行年五十七、破草鞋、明兆筆」とあり、この大涅槃図が應永十五年(1408)明兆57歳の時の制作です。
明兆は東福寺に佛涅槃図がないのを遺憾とし、その制作を思い立って、国外に手本を求めようとしていた時、一人の化僧が現れて手本の涅槃図を授けてくれたと云われております。
また、絵具を得ることができず困却したが、東福寺の東の渓谷から、朱色や五彩の岩石が現れたので、これを使用して大涅槃図を完成し、これが「絵の具谷」として言い伝えられています。
参考文献『国華』第七拾壹編